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はじめに
3年次臨床実習の目的は,学内教育により得た知識を患者または障害という具体的な対象に接し,検査・測定を行いそれに基づいて治療計画を作成し実施することである.これに対し臨床実習指導者(以下SVと略す)は,技術面のみの指導だけではなく,専門職としてのあり方や態度および人間としての行動の仕方などについて幅広く指導することが望まれている.限られた時間の中でいかに学生を指導し評価するかはSVにとっても頭の痛い問題である.臨床実習を効果的に行うには,学生からいかに正確な情報を収集するかである.各養成校からある程度の情報を入手することは可能であるが,実習では学内教育では得られない情報が必要な場合もある.しかし情報が多すぎると先入観を持って判断しがちになる.実習生の評価についても多くの項目について評価する方法が有効であるが,評価時間などから考えると煩雑になってしまう傾向がある.
一般に各実習施設では中間および最終評価を行っており,その結果により臨床実習の合否の判定を行っている.このような結果だけの判定では,実習生が次回の実習においてどのように改善すればいいのか不明確であり,学生にフィードバックしにくい点がある.筆者らは現在の臨床実習評価に対し,学生自身による評価法について模索しており,1981年2月カナダのToronto Rehabilitation Centreで研修を受けそこで“Competency test”という自己評価法について知る機会を得た.わが国では医学教育の中で自己評価を利用している所もあるが,PT・OT教育の中ではほとんど用いられていない.我々はこの自己評価法を臨床実習評価における新しい試みとして,当大学におけるPT実習生に対し使用する機会を得たので報告する.
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