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講座
障害学概論 5.能力低下の障害学
Studies of Impairments, Disabilities and Handicaps. 5. A Study of Disabilities
大川 嗣雄
1
Tsugio OKAWA
1
1横浜市立大学
1Department of Rehabilitation Medicine, Yokohama City University School of Medicine.
pp.325-333
発行日 1984年5月15日
Published Date 1984/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103089
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はじめに
能力障害(Disability)は,1980年のWHOの「国際障害分類」1)によれば次のように定義されている.
Disability(能力低下):保健活動に関連して用いられる場合,disabilityとはある活動を,人間にとって正常と考えられるやり方または範囲において行う能力(ability)の,Impairment(機能障害)の結果起こった,なんらかの制限または欠如である.
また,上田2)は本講座の第1回で次のように定義している.
能力障害(Disability):障害の2次的レベルであり,機能・形態障害から生じてくる人間個体のレベルでとらえた障害である.与えられた地域的・文化的条件下で通常当然行うことができると考えられる行為を実用性をもって行う能力の制限あるいは喪失を言う.
以上の2つの定義から,共通した点を要約すると,
①人間レベルの問題であり,
②当然行うべき活動または行為の制限,喪失であり,
③Impairmemtの結果起こってくる,ものと考えられる.
しかし,相異点もあり,WHOは“正常と考えられるやり方”と表現しているのに対し,上田は“実用性をもって行う”としている.(この点について上田はかなり詳しい論拠を述べているが,それを参照されたい3).)
さて,このように定義された能力低下とは具体的に何をいうのであろうか.
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