The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 15, Issue 2
(February 1981)
Japanese
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はじめに
今年は繰り返し述べられているように国連決議による国際障害者年であり,昨年末(12月8-9日)の,国際障害者年日本推進協議会主催の「プレ国民会議」をはじめ,各種の行事や運動がすでに開始され,または計画されている.新聞・放送などのキャンペーンもまた活発である.
この国際障害者年の間に,また今年から始まる10年間の行動計画を通じて,障害者問題の解決の前進のために,ぜひともこれだけは実現させたいと願う事柄は,日本推進協議会が傘下の90数団体の要望をまとめたものをみただけでも数100項目におよんでおり,その立場立場で施策の優先順位も著しく異なっている.医療従事者の中ではまだ「後発」の,我々リハビリテーション関係者が国際障害者年によせる「熱い期待」の中にも,これを契機にわれわれの仕事に対する一般社会の正当な評価を確立したいという,あえていえば「自己中心的」な願望も含まれていないとはいえず,またそうであったとしてもそれ自体批難されるべきことではない.
しかしわれわれとしてはそれだけに留まらず,できる限り偏らない広い視野を持つように努力し,特にリハビリテーション医や理学療法士,作業療法士として,長い間いわば「リハビリテーションのプロ」として障害者の問題に取り組んできたという「自負」からひとまず離れて,本当に障害者の「人間らしく生きる権利の回復」(これこそが本来の意味の「リハビリテーション」であるが)のために,わが国の現状で今何がいちばん必要かをこの際つきつめて考えてみることが重要ではないかと思われる.
この点でもし,国際障害者年を契機にどうしても達成するべき2つの最優先課題をあげることが許されるとしたら,筆者としてはそれは「障害者の範囲の拡大」と「重度障害者のリハビリテーション」ではないかと考えたい.重度障害者については本論文の主要テーマなのでしばらくおき,「障害者の範囲」についてまず簡単に触れておきたい.
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