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はじめに
国際疾病分類(lnternational Classification of Diseases,I.C.D. )は1893年に国際統計協会で最初の案が作られて以来,1900年の第1回修正,1909年の第2回修正とほぼ10年ごとに修正が行われ,1948年の第6回修正からは世界保健機構(WHO)の事業となり,内容的にも飛躍的な充実をみた.
現在わが国で行われているのは1965年の第8回修正にもとづいた昭和43年の国内版であるが,今回1975年9~10月の第9回修正会議の結論にもとづいた国内版改訂の作業が進められている.
今回の第9回修正には,前回のものとくらべいくつかの点で著しい改正がおこなわれており,その多くは,医療が治療だけでなく,保健,予防,リハビリテーションを含む包括的な事業へと発展した現状とそれによる統計上の新たなニードを反映したものである.その一つとして,今回の修正の過程で,一部の委員から強く「障害の分類」を含めるべきことが主張され,各国に送付されて検討された草案にも「機能障害分類,classification of impairments(I-Code)」と「ハンディキャップ分類(H-Code)」とが含まれていた.このうちI-Codeは細部はともかく,考え方としては従来の医学的な障害のとらえ方の線に沿ったものだけにそれほどの問題はなかったが,H-Codeについては,全く新しい角度からのものだけに,その必要性は高く評価するものの,最終案の決定には慎重であるべきだとの意見が強く,結局はH-Code,I-Codeとも第9回修正そのものには含まれず,参考として付記されるにとどまった.わが国で現在準備中の国内版(厚生省統計情報部と厚生統計協議会による)にも残念ながら収録されないことになったが,折角の重要な意義をもつ提案であり,わが国での議論にも参考になる点が多いと考えられるので,厚生省統計情報部の御諒解を得て,その要旨をここに紹介することとした.
この案は,イギリス・マンチェスターのウッド博士(Philip H.N. Wood. MRCP,FFCM,ARC Epidemiology Research Unit)の手になるもので,序論,I-Code,H-Code,付録(用語解説)からなっている全81ページの大冊である.名称はThe Classification of impairment,disability and handicapとなっているが,disabilityに関する分類はI-Code(3桁の数字からなる)につける4桁目の数字で示される方式であり,独立の分類ではない.
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