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特集 シンポジウム「専門職としての倫理」
チームワークにおける倫理
Ethics in Rehabilitation Teamwork.
上田 敏
1
Satoshi UEDA
1
1東京大学医学部付属病院
1The University of Tokyo.
pp.179-185
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102813
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はじめに
リハビリテーションにおけるチームワークは専門職者(professional(s))の集団作業であるという点で一般のチームワークとは異なる点をもっている.チームワーク一般については川喜多二郎氏の名著「チームワーク」1)がかなりの程度にその特性とグループダイナミックスを解明しており,教えられるところが多いが,リハビリテーションにおけるチームワークは医師,理学療法士,作業療法士,言語治療士・ソーシャルワーカー等々の資格制度も職能もそれぞれ明確に区別された,異なった専門職に属する人々が,患者(または障害者,以下同じ)という一個の人間をめぐって形成するチームであるという点で,登山・探険・調査・スポーツなどのチームとはかなり異なった特性をもってくるのである.
チームワークにおける倫理を考える場合,本来ならばリハビリテーションにおけるチームワークの特性を充分に解明して,その上で論じられるのでなければならないが,これまでのところ,このようた意味での立ち入ったチームワーク論はほとんどなされていない.しかし他方ではリハビリテーションの実際は医療のどの分野にも増してチームワークに深く結びついており,その意味ではチームワークを論ぜずしてリハビリテーションの世界の中のどんな問題も論ずることはできないと言っても過言ではない.
そのためここでは,まずきわめてスケッチ的で説明不充分ではあるが,筆者の考えるリハビリテーション・チームワークの特性について簡単に述べ,ついでその場における倫理的問題に論を進めることとしたい.
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