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特集 シンポジウム「専門職としての倫理」
守秘義務について―精神科の場合
Duty to Keep Client's Secret-For Mentally Disabled Clients
橋本 雅雄
1
Masao HASHIMOTO
1
1東海大学精神科
1School of Medicine, Tokai University.
pp.167-168
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102810
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守秘義務とは
精神科医に限らず,職業上知り得た患者の秘密を保持し,他に漏洩してはならないことは,ヒポクラテスの誓いを引き合いに出すまでもなく,全ての医師に荷せられた基本的義務である.医師は診療の目的を達するためには,どうしても個人の精神的・肉体的な秘密を知る必要がある.医師が守秘義務を遵守するという前提があってこそ,患者が医師を信頼し秘密が打ち明けられることになる.したがって,患者の秘密を軽々しく漏らすことは,その患者個人の人権を侵害するだけでなく,医師と患者の信頼関係の上に成立している医療行為に多大な影響を与えることになる.守秘義務は本来倫理的なものであるが,現在多くの国で法的に規定されているのは,上記の理由のためである.
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