特集 親子
老人との同居—老人社会医学的側面から
田中 多聞
1
1東京都老人総合研究所
pp.552-553
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204903
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同居を考える いま,老人たちは経済,配偶者との離別,病気などをひどく恐れている.これらは,老年期に特有な生活変化からくるものである.これら老人の三敵は,洋の東西を問わず共通したものである.大社会は三敵にいろんな取り組み方をしている.老年学(ジェロントロジー)をしっかりした基盤に持つ先進国では.経済給付を最優先→老人中心の心情的ケア→コミュニティ,ホームでのケアへの道のりを着実に歩んでいる.私たちの社会では,基本的理論と哲学が極めて曖味なうえに急速度に福祉対策を突き上げられたため,肝心の老人への心情的ケア,ホーム,コミュニティ内での老人ケアを切り捨て老人を無理やりに施設(病院,老人ホーム)に収容する対症療法を行なっている.しかしながら老男はサービス扶養(身の囲りなどの)をもっとも強く望み,老女は経済的扶養を求めている.しかも老男,老女とも家で生き続けたいと望んでいるのである.
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