The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 15, Issue 2
(February 1981)
Japanese
English
講座
関節のモビリゼーション 1.総論
Joint Mobilization. 1. Basic Considerations and Clinical Significance
博田 節夫
1
Setsuo HAKATA
1
1国立大阪南病院
1Dept. Physical Medicine, Osakaminami National Hospital.
pp.309-313
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102354
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はじめに
モビリゼーションは古くからマニプレーションとともに整形外科的徒手治療法(orthopedic manual therapy)として発達して来たが,我が国の理学療法の中では危険視され,疎外されていた.しかし,最近,欧米で理学療法士の中に興味を示す者が増加しつつあり,一般的な手技として取り入れられようとしている.にもかかわらず,その急速な普及を阻止する要素も多分に認められる.すなわち,手技の上でマニプレーションなどとの相違が明確でなく,暴力的と見られる手段を含んでいること,理論的基盤が薄弱で,臨床的意義が不明確であることなどがその主な理由と考えられる.
著者らは,モビリゼーションのうち関節モビリゼーションを関節包内運動の治療手段,したがって運動療法の一つとして捉え,約1年半に亘って臨床的応用を試み,その重要性ならびに限界について検討して来た1,2).それらの経験に基づいて関節モビリゼーションの基礎的な考え方および臨床的意義について述べたいと思うが,現在でもまだ解明され得ない部分も多く,既成のものを取捨選択し,また,新しい手技の考案に苦慮している.それゆえ,欧米における考え方とはかなり異なったところもあり,単なる外国技術の紹介ではないことを明記したい.
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