The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 14, Issue 10
(October 1980)
理学療法と作業療法
14巻10号
(1980年10月)
Japanese
English
特集
小児の脊髄障害
小児脊髄障害の理学療法
Physical Therapy of Young Children with Spinal Cord Lesions
小嶋 裕
1
,
嶋田 進
2
Yutaka OJIMA
1
,
Susumu SHIMADA
2
1高知リハビリテーション学院
2兵庫県立のじぎく療育センター
1Kochi Rehabilitation Institute, College of Physical Therapy.
2Hyogo Prefectural Hospital for Crippled Children “Nojigiku”.
pp.685-691
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102243
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はじめに
小児脊髄障害は,上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害に大別することが出来る.また先天性,後天性,あるいは進行性,非進行性,回復の可能性があるものなど,その原因によって多様な病態が考えられるが,リハビリテーション医学の特色とも言われる障害学の立場より捉えれば,疾患,部位,損傷程度により発現する症状は様々である.その多くは,運動障害(四肢麻痺,対麻痺,稀に片麻痺,単麻痺),知覚障害,直腸膀胱障害を伴っていることが多い.
最近,肢体不自由児施設においても脊髄障害児に接する機会は多い.昭和55年6月現在,のじぎく療育センターにおける入院児142名の内訳は,脳性麻痺61名(43%),ペルテス病22名(16%),脊柱側彎症16名(11%),種々の脊髄障害12名(8%),先天性股関節脱臼5名(4%),若年性関節リウマチ3名(2%),その他23名(16%)であり,脊髄障害は第4位の位置を占めている.しかも年々増加の経過をたどってきている.しかし,進行性のものはごくまれであり,上肢機能は健在であることが多く,知的レベルをみてもリハビリテーション(現実にハビリテーションの考え方)の可能性には大きいものがある.とは言え,身体的,精神的に成長過程にあり,その為に引き起こされる障害は大きな問題を含んでいる.
本稿では理学療法を実施する上での上記に基づく概念,特異性,留意点などを中心に,また症例を通して検討を加えてみたい.

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