随想
リハビリテーションの先覚者柏倉松蔵氏の思想のルーツ
水野 祥太郎
1
1大阪大学
pp.492
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102189
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リハビリテーションが今日の姿をとるまでには,先覚者が苦心をかさね,先導者がいろいろの努力を積んでいった歴史があるのは当然であるが,今までこの点について首肯できるようなものに欠けていた憾みがあった.リハビリテーション医学会の「白書」もこの点はきわめて稀薄である.本誌3月号の砂原茂一氏の柏倉松蔵氏に関する一文は,この先覚者の地位,とくにその技術面についてのルーツをよく分析されていて,まことに目を開いていただいた思いであったのは,けだし私ひとりにはとどまらなかったものと思う.私が蛇足として,ここに付け加えたいのは,その思想的なルーツに思いあたるものを感じて少し詮索してみたものである.
柏学園の創立趣意書の冒頭に,すばらしい名文の一節がある.砂原氏も,その先に柏倉氏を論じられた蒲原宏氏も,それを引用しておられる.いわく,「およそ人間という人間は,皆天の公平な恩恵に浴して幸福な生活を送ってゆくことが出来うるはずでありまして,天の差別なき監督の下にあっては誰も彼も一視同仁で決して差別はないはずです」と.
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