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講座
中枢性運動制御の生理学 4.基底核の生理学―パーキンソニズムと関連して
Central Motor Control: 4. Basal Ganglia: Its structure and motor functions
宇野 正威
1
Masatake UNO
1
1東京都精神医学総合研究所
1Rsychiatric Research Institute of Tokyo.
pp.409-414
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102169
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はじめに
われわれがふだん意識的に,あるいはほとんど意識せずに運動を行う時にも脳のさまざまな部位が関与する.大脳基底核(basal ganglia)は,大脳運動野や小脳とならんで,そのような運動を制御するための大きな中枢の一つである.基底核は単一な核ではなく,大脳皮質の深部に散在するいくつかの核の集まりであるが,その諸核の間は線維連絡で密接に結ばれている.これらの核が病気で障害されると,非常に特徴的な運動症状を呈することが古くから知られている.錐体外路症状と呼ばれており,代表的なものに舞踏病がある.これは自分の意志では抑制できない不随意運動で,安静にしていても手足がひとりでに動き出す.歩いている時には,この異常運動が重なってあたかも踊っているかのようになるためこの名がある.もう一つの代表的なものとしてパーキンソニズムがある.これは舞踏病とは反対に身体全体の動きが非常に少なく,また動きがきわめて遅い.全身の筋緊張が異常に昂進しており,しばしば振戦を伴う.近年,パーキンソニズムのそのような運動症状がいかにして生ずるかの研究が盛んに行われており,基底核機能についていくつかの重要な指摘もなされている.ここではそれらの解析を中心にして,基底核の構造と機能について述べる.
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