特集 片麻痺患者のリハビリテーション目標
<随想>
老人片麻痺患者の生きがい
小谷 節子
1
1(東京都)足立区立心身障害者福祉センター
pp.405
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102166
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50m2余りの「機能訓練室」が区立心身障害者センターに設けられ,昨年6月から事業が開始された.利用希望者は予測通り脳卒中後遺症者で,そのほとんどの人がリハビリテーション専門病院で訓練を受けていた.しかし退院後は運動らしきことはせず,やっている場合でも,短時間の自宅周辺の散歩といった程度であった.初対面の印象は一様に生気がなく,老けていて,病人風であった.また地元の施設の気楽さからかパジャマや寝巻きの上に半天をひっかけた恰好の人が目立った.これらの人達を一通り診た関係者は機能訓練をしても,改善はたいして期待出来ないだろうと評した.発症からほぼ3年以上経過し,年齢は平均55歳であったが40歳から,75歳の年齢差があった.とにかく部屋の関係から,グループを2つにして,各々週2日,10時から2時まで通って来てもらうことにした.コーディネーターはSWが,他に看護婦と,非常勤理学療法士,整形外科・内科医が当り,内容は運動訓練を中心にグループワーク的な対応で行った.ところが,その後も引き続き訓練希望者が出た為,どの利用者も6カ月を一区切りに卒業させることにした.これには諸々問題や抵坑もあったが,結局,この卒業生を中心に「友の会」という自主サークルを設立し,会員相互の交流や親睦と,機能訓練を自主的に続けることになった.
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