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講座
中枢性運動制御の生理学 3.脳幹の運動機能
Central Motor Control: 3 Motor Functions of the Brain Stem
中村 嘉男
1
Yoshio NAKAMURA
1
1東京医科歯科大学歯学部 顎口腔総合研究施設生理学部門
1Tokyo Medical & Dental University, School of Dentistry.
pp.357-363
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102156
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Ⅰ.はじめに
脳幹とは,延髄,橋,中脳,間脳を指し,中脳以下脊髄までをまとめて下位脳と呼び,終脳と間脳をあわせた上位脳と対比する.下位脳の特徴としては,まず第一に,体節性の構造をもつ点があげられる.つぎに,骨格筋に直接終止する軸索を有する運動ニューロンは,下位脳にしか存在しない.眼筋,咀嚼筋,顔面筋,舌筋などを支配する脳神経運動核は,すべて中脳以下に存在する.また,下位脳だけで,循環および呼吸機能は正常に維持され,生命の維持は可能である.
大脳皮質から脊髄への運動司令は,皮質脊髄路を介する直接的な経路(錐体路)と,大脳基底核ならびに赤核,脳幹網様体などの脳幹の諸核を経由する間接的な経路(錐体外路)により伝達される.
したがって,脳幹は,運動にたいする直接の出力機構の存在する部位であるとともに,脳幹と脊髄の出力機構を統御する部位でもある.このような観点から,ここでは,脳幹の運動機能を,脳神経運動ニューロンに対する体節性統御機構としての脳幹反射と,脊髄運動ニューロンの出力を統御する脳幹からの下行性影響の機構とに分けて述べることにする.
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