Japanese
English
講座
中枢性運動制御の生理学 2.脊髄レベルにおける運動制御
Motor Control in the Spinal Cord: 2
神田 健郎
1
Kenro KANDA
1
1千葉大学医学部生理学
1School of Medicine, Chiba University.
pp.270-276
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102133
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.はじめに
イヌの第7腰髄について見ると,脊髄後根から入って来る感覚線維の数は約12,000であり,前根から出て行く運動神経は6,000である.一方,この髄節内に存在する神経細胞の数は大小合わせてその数は約375,000にものぼる.後根から入って来た感覚線維は脊髄内で枝分かれして一方は直接またはニューロンを変えて上位中枢にその情報を送る.他方は灰白質に入り全て何らかの形で脊髄からの出力系である運動ニューロンに継ながっている.これは慢性脊髄ネコのように上位中枢からの影響が除かれた状態では全ての刺激(触・圧・痛・温・冷・関節の動き,筋伸展など)が反射性運動を惹き起こすことから分る.運動ニューロンの数に比してそれ以外のニューロンの数が非常に多いことは,後根や上位中枢からの下行路からこの髄節に入った信号が出力系である運動ニューロンに達するまでに非常に複雑な情報処理を受けているだろうことを想像させる.事実,脊髄は上位中枢と末梢を結ぶ単なる中継点ではなく,歩行運動などのような紋切り型の運動を起こす基本回路なども存在すると考えられている.本講座では運動機能の基本である脊髄反射とそれに関連した比較的単純な神経回路の働きについて述べる.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.