Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
咀嚼運動のパタンは,動物の食性に応じて多種多様であるが11),共通の基本的特徴は,それがリズミカルに反復される顎と舌との協調運動である点である。
咀嚼時の顎運動のリズム形成の機構について,定式化された仮説を最初に提唱したのはSherringtonであろう。その根拠となった知見は除脳ネコにおける開口反射の誘発である。除脳動物では抗重力筋である閉口筋(側頭筋,咬筋,内側翼突筋)の固縮により持続的閉口が維持されているが,歯肉縁,歯,硬口蓋の触・圧刺激あるいは電気刺激は,開口筋(顎二腹筋,顎舌骨筋など)の収縮および閉口筋の弛緩から成る開口反射を誘発する。刺激終了とともに,今度は閉口筋が急速に強力に収縮して閉口運動が出現する。口腔粘膜に電気刺激を低頻度で周期的に与えると,刺激中に開口,刺激と刺激との間に閉口が交互にリズミカルに出現する。このような観察からSherringtonは,咀嚼リズムの発生について次のような仮説を提唱した42)。食物が口腔内に入ると,動物はまず随意的に口を閉じる。このとき歯肉,歯,硬口蓋などは食物により圧刺激を受けて開口反射が誘発される。開口により食物による圧刺激が除かれると,開口運動の間抑制されていた閉口筋運動ニューロンは抑制後跳ね返りによって興奮し,閉口筋が収縮して口が閉じる。
Repetitive stimulation of a certain cerebral cortical area in a variety of animal species induces rhy-thmical coordinated movements of the jaw and tongue accompanied by salivation, closely resem-bling the mastication, and the area is called the cortical masticatory area (CMA). The CMA-induced masticatory jaw movement can be monitored by a rhythmical EMG activity of the jaw-closing (masseter) and -opening (anterior digas-tric) muscles as well as a rhythmical efferent burst activity in the nerves innervating the masticatory muscles.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.