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特集 脳性麻痺(成人を中心として)
成人脳性麻痺に対する理学療法―頸椎症を合併したアテトーゼ型脳性麻痺者の症例検討を通じて
Physical Therapy for the Cerebral Palsied a Case of the Adult-Athetotic Cerebral Palsy with Cervical Myeloradiculapathy
工藤 俊輔
1
Shunsuke KUDO
1
1東京都心身障害者福祉センター
1Tokyo Metropolitan Rehabilitation Center for the Physically and Mentally Handicapped.
pp.333-338
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102149
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はじめに
ここ10数年来脳性麻痺児に対する超早期療育の必要性が叫はれ続けてきている.またそれに対する理学療法の各手技も数多く論じられ超早期療育こそ脳性麻痺の根本的な治療のあり方につながるものとみなされてきた.しかしこの超早期療育の強調が成人脳性麻痺者の治療に対する悲観論を増幅させ「ナニをやっても手遅れだ」というような結論を引きだしてしまうことになってはならない.
特に成人した脳性麻痺者にとってその障害は医療,教育,職業の各分野多岐にわたり理学療法の領域に於いても機能障害の軽減や変形の予防,補装具の適応,運動能力の維持改善等多くの課題を持っている.またそれに加えて次第に高齢化していく成人脳性麻痺者の老化現象と重なった障害はもうひとつの新しい問題を我々に提示してきている.
そこで今回頸椎症による頸腕症候群と左変形性股関節症を持ち昭和50年頃より機能低下が目立ち始め廊下で転倒したことがキッカケで歩行不能となったアテトーゼ型の脳性麻痺者の症例を経験したのでその検討を通じて成人脳性麻痺者に対する理学療法のひとつの考察をしてみたい.
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