Japanese
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特集 最近の神経科学から
講義
ネコの前肢を制御する脊髄固有運動中枢における統合
Integration in a propriospinal motor center controlling the forelimb in the cat
Anders Lundberg
1
,
渋木 克栄
2
1Department of Physiology, University of Göteborg
2東京大学医学部生理学教室
pp.445-458
発行日 1978年12月15日
Published Date 1978/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903284
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脊髄における統合機能と題して,前肢運動ニューロンに関する最近の知見を概説することにする。前肢運動ニューロンは,いろいろな上位中枢からの興奮を,C3とC4の脊髄分節にある短突起の脊髄固有ニューロンを介して受けること,そして,これらの脊髄固有ニューロンによる制御はきわめて複雑であることを示そう。興奮性,抑制性入力の収束は,いろいろな上位中枢からだけでなく,前肢の求心性線維からも起こる。
運動ニューロンに対する脊髄固有の制御は,最初にLloyd21)により研究された。彼は延髄から脊髄への斉射をいろいろな分節の高さで記録し,上部腰髄ニューロンへの単シナプス性結合を示した。Lloydは,脊髄内で中継される斉射と運動ニューロンの発火とを比較し,短突起の脊髄固有ニューロンを介する延髄から運動ニューロンへの二シナプス性経路の存在を想定した。彼はまた,前もって運動皮質や後肢からの一次求心線維を刺激しておくと,脊髄固有ニューロンへの斉射の伝達が促通されることを示した。腰髄短突起脊髄固有ニューロンの機能は,Vasilenkoら32,33)やKazhonov and Shapovalov16,17)によってさらに研究されている。
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