とびら
落し穴
佐藤 章
1
1東京都立府中リハビリテーション専門学校
pp.747
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102027
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人間とは,不思議な生き物だと思う.いつもそう思う訳ではないが,ふとそう思うときがある.不思議な生き物と言えば,全ての生き物についてそう言えるのかも知れない.草花や樹木,魚,蟻や蜂そして猿にしろ不思議な生き物であるということは人間以上であるのかも知れない.彼らの行動や生活が,人間のそれとはかけ離れている場合,あるいは,逆にあまりにも人間のそれと彼らのそれとが似ている場合とがある.このいずれの場合でも,人間の目からみると一種の驚きであり,意外性がある.しかし,この意外性もいつの間にか意外性が失われ,極く当り前のこととして人間の目に映る.彼らの行動や生活それ自体にはなんら変化がなくとも,人間は極く当り前のこととして受けとめてしまうようになる.これは,対象が生き物であろうと,自然界の事象であろうと,日常の生活における諸現象であろうと,おかまいなく同じようなことが起こっているような気がする.
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