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特集 ファシリテーション・テクニック(1)
脳血管障害による片麻痺の運動療法―促通と抑制に対する治療原則と治療手技について
Therapeutic Exercise for Hemiplegic Patients
柳沢 健
1
Ken YANAGISAWA
1
1国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院
1Tokyo National Chest Hospital School of Rehabilitation.
pp.315-323
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101901
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はじめに
脳血管障害による片麻痺患者に対する運動療法は,近年,諸家の考え方,立場に沿って実践されつつあるが,いずれの方法にしろ,中枢神経疾患に対する運動療法は末梢神経疾患における筋力,耐久力などの量的増大とは表層的に異なり,質的な向上,すなわち運動・動作パターンの向上に主眼がおかれている.これはファシリテーション・テクニックスとして知られる神経生理学的アプローチの手段を用いることによって施行されつつある.ファシリテーション・テクニックスという用語は,正確には促通facilitationだけでなく,抑制inhibitionの概念をも含まれていることに注意したい.
我々,セラピストは患者の運動・動作を評価するとき,特に中枢神経疾患の場合,患者が正常な運動・動作パターンと比べ,どのようなパターンをもって運動・動作を行うか,あるいは正常からどの程度,逸脱した行為をとるかということを十分に観察・分析しなければならない.そこにはじめて理学療法のプログラミングが組み立てられると考える.
これから述べる方法は,Bobath1~3)・中村16~23)らが提唱する方法を中心に,PNFテクニック7)を出来る限り応用し,さらに筆者の臨床経験を通して得た方法であることを前置きしておきたい.
なお本稿では筆者が用いている治療手技内容をすべて網羅することは与えられた紙面スペースの関係で,きわめて困難なため,治療原則の中に,それぞれ代表的な方法を具体的に述べてゆくことにする.
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