書評
池田由子編著―「児童精神衛生相談の実際(問題児と家族の事例研究)」
白橋 宏一郎
1
1国立仙台病院精神科
pp.102
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101845
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
児童の精神衛生相談であれ,あるいは精神医学的診療であれ,児童のしめす問題行動の理解に,親子,家族関係の検討がしめる役割の大きさについては,いまさらいうまでもあるまい.
木書では,頭を打ちつづける,盗み,乱暴,登校拒否,落着きがない.漏糞,大水をこわがる,性的非行,捨て子,神経性食欲不振,知能の高い劣等生,チック,心因性視力障害,虐待,コマーシャルばかりいうなど,この領域に関心するものにとっては接する機会の多い20例の事例について,おのおの家族歴,生育歴,診断,治療経過を通して,その中に含まれる親子,家族関係の重要性が浮きぼりにされ,予後と簡潔な考察が加えられており,本書は,きわめて読みやすい,平易な用語で語られているが故に理解しやすい好著である.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.