特集 児童相談所と精神療法
児童相談所と精神療法
山中 康裕
1
1京都ヘルメス研究所
pp.581-583
発行日 2025年10月5日
Published Date 2025/10/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51050581
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今回,筆者は本児童相談所についての特集を,東京都小平児童相談所の茂晃久君との共同編集ということで引き受けた。それは,もう,筆者のような古参が,現代のすべての児童相談所の問題に身を張って計画・実践することなど土台無理であり,やはり,今,現役で頑張っている人との共同企画でなくては,とても現実の事態に対応できないと判断したからである。 かといって,なぜに,筆者が言い出したかといえば,実は,筆者という治療者を育ててくれたのが,[基本的には故・河合隼雄教授と故・石井哲夫氏の指導下という建前で,実は,両先生がいつも実際に傍に居られてのことではなく,理念的にの意味で,実は,ほとんどは筆者一人が行ったことなのであるが]福井中央児童相談所(現:福井児童相談所)・敦賀児童相談所(以下,両児相と略記)における,延べ20年にわたる治療実践があるのであり,筆者というセラピスト存在の基礎を形成してくれたことにおいてとても大きな核となったと心底思うからである。無論筆者は,名古屋市立大学医学部付属病院[における,もういずれも故人となられた教授たち,岸本鎌一・荻野恒一(南山大学)・大橋博司・木村敏各教授および故・中井久夫助教授,故・大原貢・岡田喜篤講師,神野佳也・大橋一惠助手らとの精神科臨床実践]でのもう一つの核,と,スイスにおける[箱庭療法の創始者故・Kalff DM女史とのまるで蜜月ともいえる深いSandspiel体験,および,ユング研究所での故・Barz H所長の教育分析,および,故・Guggenbühl-Craig A元所長らとの親密な討論などの]海外体験が,今一つの核であることは言うまでもない。

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