コンタクトレンズ(62)
高見順と池田勇人
長谷川 泉
pp.22
発行日 1965年11月10日
Published Date 1965/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203498
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近代文学館の計画が軌道に乗り,政・財界をはじめ各界の名士を集めてその披露をし援助を乞おうというつどいがあった時,時の首相池田勇人はこの会に出席して,議会答弁などと違っていかにも気軽く楽しそうに犬馬の労をとることを約束した.その池田前首相はガンで逝いたが,犬馬の労をとろうと言った塩から声は今もなお耳朶に残って消えがたい.
初代理事長として,文字通り近代文学館と共に生きた高見順は,近代文学館の起工式がすんだ翌日,やはりガンで逝いた.近代文学館の開館式の際病中の高見順は介添されて会場の国立博物館に姿をあらわし一世一代の演説をした,その高見順も今は亡い.
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