書評
池田由子著―集団精神療法の理論と実際
金平 輝子
1
1東京都心身障害者福祉センター
pp.491
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100876
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1968年初版されたこの本は,今年すなわち1974年第2版が出版された.第2版は,初版に比較して,種々の点で加筆され一段と内容を充実し,深めてきている.先ず総論では集団精神療法の最近の動きやわが国における集団精神療法が紹介され,この領域の発展や今後の方向を読者に示してくれるし,各論ではその後著者が治療者,協同治療者又は観察者としての実践をふまえた貴重な記録が収録されている.
そもそも集団精神療法が近代医療の中に位置づけられ,体系的に理論化されたのは,わずか半世紀前のことである.以来本療法の適用は精神障害者を中心にすすめられ,それがそのまま集団精神療法の発達をもたらしたが,最近,精神障害者に限らず「問題をもつ子ども」や,心身障害者(児)を,「一般社会の外におかず,これらの人々を含んだ社会」の発展を誰もがねがうようになると,あらためてその人々に対する適応援助の必要性が痛感されるようになり,その有力な方法として集団精神療法がとりあげられるようになった.
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