巻頭言
児童精神科医療についておもうこと
白橋 宏一郎
1
1国立仙台病院精神科
pp.746-747
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203287
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これまで多くの人により何度か述べられてきたことを,再び繰返さなければならない。それは,児童精神科医療に従事しているものにとっては不可避の問題であるからである。
日本児童精神医学会が発足し,機関紙“児童精神医学とその近接領域”が刊行されたのは1960年のことであり,以後20年余にわたって発表された研究の数々には優れた業績も多いことは今更いうまでもなかろう。また,この領域への関心は明らかに年々たかまりつつあり,従事する医師も増加している。それにも拘らず,ある人は児童精神科医療は精神科医療の私生児だといい,わが国の精神科医療の実態に詳しいある外人教授は,わが国で最も遅れているものは児童精神科医療であると指摘されたと聞く。
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