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講座
住まいと身体障害 1.身障者のための建築基本論
Housing for the Physically Disabled
野村 歓
1
Kan NOMURA
1
1日本大学理工学部建築学科
1Science & Technology, Nihon Univ.
pp.39-46
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101832
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はじめに
人間の生活を容れる器としての建築物は,気温・湿気・気象・地形といった自然的要素と生活様式・生活感情・政治・経済水準といった人為的要素との関連によって,さまざまな形態が考えられる.しかし,基本は誰が,何のために,どのように使用するかであり,これなくしては建築物の設計は考えられない.特に,「誰が」に注目したい.近年建築物は大規模化,多様化されてきたために,その建築物を利用するのはあらゆる市民が利用するといえよう.市民の中には,当然,老人もいれば身体障害者(以下身障者と略す)も含まれているはすだ.しかし,現在の建築物には,老人・身障者の利用を念頭にいれて設計されていないばかりにしばしば社会問題を引き起している.すなわち,建築物は,全ての市民に利用できる形態にしなければならないのは現代社会では当り前といえよう.従って,本来ならば,「身障者にも利用できる建築論」と記すべきだが,本稿では身障者が利用できるようにするためにはという意味をこめて「身障者のための建築基本論」とした.
また本講座の編集方針により,身障者の住宅問題に主眼を置き,本稿は住宅生活を成りたたせるための環境整備はどうあるべきかについて記したいと思う.
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