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Ⅰ.いとぐち
欧米ではリハビリテーションのなかに,よリダイナミックな身体障害者スポーツをそのプログラムにとり入れ,身障者を心身共に向上させ,その85%以上を有給就職させることに成功している.1800年頃の古くから,ドイツではKrankengymnastikとして病院で身障者スポーツがとりあげられていたし,それを脊髄損傷の分野で組織化したのがProf.Ludwig Guttmannで,1948年以来今日まで,綿々と続いている.
昭和36年6月に私共は大分県身体障害者体育協会を発足させ,また同年10月にわが国で初めての第1回大分県身体障害者体育大会を開催し,昭和37年7月に別府から2人の脊髄損傷者をつれて第11同国際ストークマンデビルゲームに初参加した.当時本邦では身障者スポーツに対する理解はほとんどなく,身障者をみせものにするとか,さらに障害を悪化させるとの誤った考えの人が多く,かなりの批判を浴びたのも今は昔の億い出となった.
昭和39年11月に葛西嘉資会長のもとに行われた東京パラリンピック以来,スポーツに対する無理解も全く消減し,毎年国民体育大会の後行われてきた身障者国体も49年の茨城大会で第10回に及び地についた感じで関係者一同喜んでいる.また50年6月には脊髄損傷者のみならず視覚,聴覚,言語障害者および切断者などすべての障害者を含んだ極東・南太平洋身障者スポーツ大会を大分県で開催することになっている.
身障者スポーツはあくまでリハビリテーションの一環として行われるべきものであり,1つのサイエンスである.初めから身障者スポーツに関係してきた整形外科医師として,予想もしなかったほど盛んになった身障者スポーツの発展には喜びを禁じ得ないが,はたして十分な医学的管理のもとに身障者の残存機能の維持・強化がスポーツを通じて医療目的に合致して正しく行われているかどうか,その正常な発展を祈ってやまない.
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