Japanese
English
特集 リハビリテーションと心理
施設と身障者
Residential Institutions and Physically Disabled.
永井 昌夫
1
Masao Nagai
1
1国立身体障害センター精神科
1National Rehabilitation Centre for Physically Impaired.
キーワード:
施設
,
身障者
,
社会
,
精神心理機制
Keyword:
施設
,
身障者
,
社会
,
精神心理機制
pp.455-460
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103350
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いとぐち
リハビリテーション医学会が設立され,理学療法士や作業療法士の資格が確立し,身障者の社会復帰に対する諸施策に期を画して以来,すでにディケイドを超えている.一般社会における啓蒙もその度を加え,福祉に対する近代的アプローチが進展するに至ったことは恂に慶ばしい.
しかし,これら諸制度の発足当初にはあえて口をつぶっていた問題点が,最近とみに浮き彫りにされてきた感も抜きがたい.技術や設備の向上に目を奪われている間に,理念や心理的配慮が置きざりにされてはこなかったか.後療法に目が注がれ,予防的見地を等閑視する憾みがなかったか.このような論点がいくつか去来する時期にさしかかってきていると思われる.
とはいえ,これまでの行き方を批難するつもりは毫もない.予算あっての方針であり,方針あっての予算であるのと同様,一方の不備を挙げつらってすべてを否定することは妥当ではない.ただ,二面性を満足させなければならない分野で,一方だけに偏りがちな趨勢にあるとき,この軌道を修正する試みを期待しているに過ぎない.リハビリテーションに心理的見地をいささか強調する意図もこの例に洩れない.これによって決して,心理的背景のみを主張するわけではない.
身障者に対する施設の在り方も,従来の土壌においてはそれなりの利点が認められていたが,社会的変化に伴って無視しえない社会復帰阻害因子が支配的傾向にあるので,リハビリテーションにおけるこれらの論点から,施設について検討する次第である.
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