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I.はじめに
前腕切断および手部切断は上肢切断としては日常よく見る切断である.片側切断の場合,日常生活動作の約80%以上健肢で行なえろためスピード,巧緻性はやや劣るとしても,特に不自由を感じてなく装飾用義手をつけるだけで終ることが多い.しかし,仕事の上でどうしても両手操作が必要で能動義手,作業用義手,パーシャルハンドを有効に使って,いわゆる「血の通った義手」にしているケースも見られる.この場合,義手はすべての動作が可能なものと考えないで一つの自助具のように考え,ある目的に合った2,3のことが可能な補助具として義手の限界をよく知った上で有効に使いわけている.両側切断の場合(手部切断の場合は別であるが),能動義手の適応が大で義手が最も有効に使える.しかしこの場合でも義手で出来ない所は残存肢,体幹で代償し,日常生活動作や仕事を行なっている例もある.いずれにしても義手には,機能面,重量の点,感覚のない点,装飾性の面で限界があるが,それをよく知りながら本人のニーズと適切に合った義手を使えば,限界をのりこえて有効にも使える.そのためには,セラピストが義手をよく知り,義手を「もの」としてではなく患者の手として患者と一緒に使い道を考えていく態度が必要である.
今回,本論文をまとめるにあたり,セラピスト(特に作業療法士)にとって是非必要なことは成書にある事項も一応分りやすく役立つようにまとめたつもりである.大喜多論文と互いに重複点もみられる場合もあるかと思うが互いに補ってお読みいただければ幸いである.文献をみるとWellerson1)は作業療法士の目でみてセラピストに必要な細かな点まで(例:動作時の義手の使い方,フックの角度等)述べている.児玉ら2)はセラピストが必要な義手の知識,事項を全て網羅し,訓練については文献1)の訳と著者らの経験を加えて詳細に述べている.沢村3)は長年にわたる切断者のリハビリテーションに携わってきた経験をもとに日本でのリハビリテーションの実際を述べているので参照されたい.
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