Japanese
English
実践講座 義肢をめぐる最近の進歩(5)
義手
A Trend about the Upper-limb Prosthesis and the Rehabilitation for Upper-limb Amputation.
中島 咲哉
1
Sakuya Nakajima
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター中央病院リハビリテーション療法部
1Hyogo Rehabilitation Center
キーワード:
早期仮義手装着訓練
,
訓練用仮義手
,
電動義手
,
公的支給制度
Keyword:
早期仮義手装着訓練
,
訓練用仮義手
,
電動義手
,
公的支給制度
pp.1261-1267
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107254
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はじめに
上肢切断と義手に関する動向を述べるに当たっては,まず初めにわが国における上肢切断者に対するリハビリテーションアプローチの現状に触れておかねばならない.
3年前に全国の義手の製作状況を調査した結果からいうと,わが国では全国の義肢製作所で1年間に製作された義手の87.6%が装飾用義手であった.
兵庫県下の身体障害者福祉法による義手の交付状況調査でも,5年間に交付された義手の約80%が装飾用義手であった.
能動義手は全国で僅かに5.3%で,兵庫県でも13.5%(身障法)であった.その他にいずれの場合も作業用義手が約7%を占めており,電動義手の公的な交付はかつての鉄道弘済会の交付例と僅かの労災による交付を除けば事実上皆無といってもよい(図1).
この傾向は近年に生じた現象ではなく,戦後45年間続いてきたわが国の義手の交付状況であり,上肢切断者に対するリハビリテーションの一つの結果であるという皮肉な見方も成り立つのである.
このような背景を前提として,義手の進歩あるいは開発状況を述べるには,新しく開発された義手を並べるだけではなく,実際に上肢切断者が必要としている体制の変化についても述べる必要があると考えられる.
したがって,ここでは現在わが国での上肢切断者のリハビリテーションと義手に関連した全般的な動向に本年6月にシカゴで開催された第7回国際義肢装具連盟(ISPO)世界会議での世界の義手の動向を加えて義手の実態を述べる.
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