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特集 義肢・装具ハンドブック
Ⅱ.下肢切断と義足
下肢切断者のADLと職業リハビリテーション
Activities of Daily Living and Vocational Training for Lower Limb Amputees
長尾 哲男
1
,
斎場 三十四
1
Tetsuo NAGAO
1
,
Mitoshi SAIBA
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
1Kanagawa Rehabil. Center.
pp.829-834
発行日 1978年11月15日
Published Date 1978/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101810
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I.はじめに<OTと義足>
義足は身体を支え,その移動を助けろものである.従って,下肢切断者に対しても,ADLの他,家庭復帰,職業復帰を問わず,OTの関与すべき点が非常に多く存在するものである.手の機能評価として捕えられがちなOTのADLテストの諸項目も,本当は,下肢機能の支持,移動によっているものが多く存在している.しかしながら,義足は,義手と違って,OTの対象外とされてしまう傾向がかなり強いのが現実である.これは,処方する医師の理解の欠如や,時にはOT自身の取り組みの不足や受け入れ能力の量的限界などによるものと考えられ,OTは下肢切断者のリハビリテーションにあまり手をつけていない.これは切断者に限らず,下肢機能障害の全体に対して言えることであろう.“手芸等の……”と言われるOT紹介の言葉が,どうも誤解を招いているようである.深く考えてみるまでもなく,上肢によるADLの諸項日は,ひとえに体幹の安定によっており,その安定と移動は下肢または,それに代わるものとしての義足,車いす等に根本的に委ねられているのである.にもかかわらず,OTの側からのアプローチが少ないのは,OT教育の中にもその原因があるように想える.OTは上肢の機能改善のみを担当するものではない.あらゆる「作業」を通じて,身体の機能改善をはかり,さらには,日常生活動作,職業前評価,訓練を行うというOTの原点に立ち帰るべきである.以下その立場に立って下肢切断者のOTを述べろ.
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