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特集 ADL
職業とADL―授産施設からみた職業前訓練のあり方
Job and ADL: Some comments on the pre-vocational training in Japan from the point of view of a sheltered workshop administrator
松井 亮輔
1
Ryosuke MATSUI
1
1アガペ授産所
pp.173-177
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100983
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はじめに
昨年6月,重度身体障害者授産施設アガペ第2作業所を開設して以来,同年末までに施設で入所面接をした対象者数は約90名で,面接,作業およびADLテストの結果,入所が適当と見なされたものは,そのおよそ半数であった.
入所が適当ではないと判断された44名の中,ADLに問題があるという理由のみで不適当とされたものは,9名であり,全体のほぼ3分の2に相当する28名は,むしろ作業能力の点で,ある程度の作業収入の伴なう「就労の場」としての授産施設の対象として受け入れることは困難と判断された.
また,作業能力があり,ADLも自立していながら,寮という集団生活への適応上問題があるが故に入所不適とされたものが数名いる.
後述するように,授産施設は「就労の場」と「生活の場」という二重の役割をはたすことをしいられているがために,作業能力,ADL,集団生活への適応のいずれに問題があっても,入所不適とせざるを得ない状況下におかれているのである.
授産施設入所希望者の約半数が入所できないという事実に象徴的に示されているように,授産施設への入所を希望するもの及び彼らを送り出す側と,受入れ側との間で,授産施設の役割についての理解にかなりのギャップがあるように思われる.
従って,主題に人るまえに筆者が考える授産施設像を明確にするために,まず,授産施設の実態についてふれ,その後に授産施設につなげるための職業前訓練のあり方についての議論をすすめていきたい.
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