Japanese
English
講座 手術・生検材料の取扱い法
Ⅵ.副腎
General Rule for Pathological Studies on Surgical and Biopsy Materials of Urological Diseases: Ⅵ. Adrenal glands
亀谷 徹
1
Toru Kameya
1
1北里大学医学部病理学教室
1Department of Pathology, Kitasato University School of Medicine
pp.497-501
発行日 1988年6月20日
Published Date 1988/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204761
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副腎材料の特殊性
副腎が生検や手術の対象となることは,前記各臓器に比較すると,第一に頻度としてはかなり低い。それは副腎が外科的疾患の対象となることが少ないことも一因であろう。第二に対象となるのは,腫瘍が大部分で,腫瘍でない材料でも,増殖性病変(両側性過形成など)の確認のためか,腫瘍における周囲副腎の反応性変化(萎縮か肥大か)を知り,鑑別に役立てるための情報を得るために必要となる場合である。第三に,副腎はホルモン産生臓器で,しかもステロイド系ホルモンとカテコールアミン系という全く性質の異なるホルモン産生を兼ねそなえるという特殊性がある。
したがって,材料の取り扱いにあたっては,頻度が少ないため,よほどの症例が集中する施設でないと,その取り扱いに慣れていないというハンディキャップがある。さらに多くの大学病院を含む施設では,慣習的に泌尿器科で手術する場合もあるし,腹部外科で手術する場合もあり,副腎外科のティームが統一されていないことがあり,これは病理側にとっては甚だ迷惑なことで,甲状腺外科(外科と耳鼻科)と同様「科内の事情」などといわないで,心を開いて,統一して欲しいものである。さらに,ホルモン産生と密接に関係した病変が多いから,古典的なHE標本のみを観察するだけでは十分でなく,ホルモン産生,分泌を分析できるような検索が重要となる。
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