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特集 特養・在宅のリハビリテーション
在宅のリハビリテーション活動におけるソーシャル・ケースワーカーの役割
The Role of Social Worker in Community Rehabilitation Activities
菊田 知恵子
1
Chieko KIKUTA
1
1東京大学医学部病院
1University of Tokyo Hospital.
pp.619-622
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101748
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はじめに
最近,障害者(児)(以下障害者)の在宅対策への関心が高まりつつある.その背景は単に収容施設の不足を補うためだけではなく,むしろ,障害者も健常者と同様に家族や地域の人々との豊かな人間関係の中で生活を送る権利を保障していこうという,コミュニティケアへの気運によるものであろう.いくつかの自治体では,上記の理念に基づく,医療スタッフ(PT,OT,NS,保健婦)による主に寝たきり老人を対象にした訪問指導,訓練,看護が行われている.対象者の範囲の狭さや,医療スタッフの不足等によって起こる問題は多々あるにしろ,「落ちこぼれ」を救い上げようという点では評価すべきであり,今後の話動の拡大,充実が望まれる.
しかしながら,「在宅リハビリテーション」として見た場合,上記のような寝たきり老人や家庭内に滞まっている重度障害者への援助のみに終始するのは片手落ちの感はぬぐえない.今後の課題として,重度の在宅障害者へのサービスの充実を図る一方,家庭を基盤に何らかの社会生活を送っている障害者を含めた在宅リハのサービスが行われる必要があろう.なぜなら,家庭を基盤に社会生活を送る障害者にも,生涯ついてまわるであろうハンディキャップの壁は厚く,あたかも崖淵に立つ人のように,ほんの僅かなバランスの崩れ(家庭環境,社会の受け入れ等)によって,社会との関わりを断ち切られた存在になる危険や,ひいては,家族関係の悪化,崩壊を招く危険を常に秘めているからである.
そこで,筆者は何らかの社会生活を送る障害者を含めた在宅リハにおけるソーシャルワーカー(以下SW)の役割を,特に家族と地域への関わりを中心に考えてみたい.
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