特集 ヘルスマンパワー
地域保健のためのヘルスマンパワーの増強—メディカル・ソーシャル・ワーカー
姉崎 正平
1
1病院管理研究所
pp.699-710
発行日 1975年10月15日
Published Date 1975/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205089
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はじめに
ここでの共通テーマの冒頭に見られる「地域保健」とは,従来の保健所活動から連想される病院・診療所外での保健指導や予防医学活動にとどまらず,治療,予防,リハビリテーション,健康維持・増進を含んだ住民の健康に関する活動が,地域において統合されるべきであるという目標概念であると理解する.したがって本稿では保健所のみならず,病院,診療所をも含めたメディカル・ソーシャル・ワーカーについて取り上げることになる.しかし,ここでは,メディカル・ソーシャル・ワーカー(以下MSWと略記)が,増強されるべきヘルスマンパワーの1つであるという前提を,アプリオリに認めて論を進めるのではなく,その前提を問い直しつつ,わが国においてMSWが増強されねばならない理由,増強を妨げている原因,そして,今後の増強のための運動の方向を,多少数量的資料や推計をまじえ探ってみたい.特に筆者の知る限り,MSWが限られた資本主義国に存在し,社会主義国にはほとんど存在しないという事実は,MSWの発生や役割りを考える場合,重要な点と思われる.
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