Japanese
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特集 脳卒中
歩行の生理学
Physiology of Locomotion
森 茂美
1
Shigemi MORI
1
1旭川医科大学生理学第二講座
1Department of Physiology, Asahikawa Medical College.
pp.157-164
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101640
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はじめに
歩行運動の神経機序は最近多くの研究者から関心を持たれている.その理由の一つとしてネコを実験動物とした基礎的研究がかなりのレベルまで,その発現機構を明らかにしてきたことが上げられる.神経生理学的研究歴史の上でもその機構の解明はSherrington16,17,18)以来なされてきたものでもあり,まさに古くて新しい問題と言える
歩行は全身の協調運動をともなうものであり,それを構成する動作の一つ一つが周期的にかつ自動的にくり返される特徴を持っている21).ヒトが歩行している場合,上肢・下肢の躯幹に対する相対的位置は必ずしも歩行者の意識に上がらない.逆に意識されすぎるとそれらのリズムは乱れてくる.どうしてこのような巧みな連続動作ができるのだろうか?
もっとも単純には,それらの運動順序があらかじめ脳脊髄など中枢神経系内のどこかで,プログラムのように決められていて,その一周期が終ると同じプログラムが再び始めからくり返されると考えることである.しかしプログラムが出来ていても,それに合うように身体が構成されていなければ歩行運動は発現し得ない.したがってヒトの身体の構造的特徴について基本的理解をもつことが必要になる.
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