Japanese
English
講座 歩行(3)
歩行の神経生理学
Neurophysiology of Locomotion.
森 茂美
1
Shigemi Mori
1
1旭川医科大学生理学第二講座
1Physiology 2, Asahikawa Medical College, School of Medicine.
キーワード:
歩行リズム触発神経機構
,
筋トーヌス制御神経機構
,
歩行位相制御神経機構
Keyword:
歩行リズム触発神経機構
,
筋トーヌス制御神経機構
,
歩行位相制御神経機構
pp.207-214
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106481
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はじめに
MacLean(1959)によると中枢神経系は機能的な立場から原爬虫類脳protoreptillian brain,古哺乳類脳paleomammalian brain,新哺乳類neomammalian brainの3部分に大別される.そして脊髄と脳幹の一部・間脳・基本核は原爬虫類に分類され,それは動物行動の中でも食物の摂取・巣造り・子育てのような紋切り型の行動を支配する.辺縁系limbic brainは古哺乳類脳に分類され,原爬虫類脳を支配しまたその一方では内臓機能や情動を支配する.そのため辺縁系を内臓脳visceral brainとか情動脳emotional brainと呼ぶ場合もある.これに対して大脳皮質の中でも新皮質neocortexは新哺乳類脳に分類され,論理的・抽象的な思考や高次の運動,例えば随意運動などを司どる12).歩行運動に関するこれまでの研究そして今後の展望を考えるとき,このような中枢神経系の分類は興味深い示唆を与えてくれる.脳幹・脊髄の歩行運動機能については,すでに多くの説明がなされているので9,18,33),本章では大脳・基底核・辺縁系・小脳に重点をおいて歩行研究の現状を解説したい.
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