メディカルプログレス
水溶性造影剤によるミエログラフィー/Microneurographyについて
岩倉 博光
1
,
真野 行生
2
1帝京大整形外科
2名大内科
pp.221
発行日 1977年3月15日
Published Date 1977/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101440
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脊髄腔造影(ミエログラフィー)には従来油性造影剤が用いられたが,最近わが国でも水性造影剤がかなり広く使用されるようになった.すでに北欧諸国では腰部脊髄腔内造影に水溶性造影剤を用いて検査する方法が,10年以前から一般的になっている.問題は水性造影剤をくも膜下腔に注入して,下肢痙攣などの副作用が生じる可能性のある点にあり,この予防のために,かっては腰髄麻酔を併用したり,鎮痙剤を用いたりした.特に造影剤が脊髄と接触することがその刺激になると考えられ,したがって造影を馬尾以下の範囲に限局して行なうことが一般に承認されてきた.このためmyelographyというよりはradiculographyというのが正しい.また水性では透視下に造影剤を流して観察するに適しないし,撮影や読影には熟練を要する.しかし粘度が低いため一様にゆきわたるので神経根の1本1本がよく見えて,その変化もよくわかる.油性の方は吸収が遅々として1ml/年といわれるほどなので,後障害として癒着性髄膜炎などの副作用が問題になるのである.
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