Japanese
English
特集 脳性麻痺の評価
脳性運動障害のVojta法による評価
Evaluation of Cerebral Motor Disturbance by Vojta Metho
渡辺 隆
1
Takashi WATANABE
1
1聖ヨゼフ整肢園
pp.189-195
発行日 1977年3月15日
Published Date 1977/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101435
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
乳児期の正常な運動発達は,中枢の協調ある発達に伴ない段階的に動作が獲得される.ヒトの個体に於ける運動発達は,系統発生の段階で既に始まり,腹臥位がその基本的姿勢であり,この体姿勢に対する姿勢反応の自律的制御は,中枢神経系の複雑な機能として新生児期から既に存在している.
無足性移動から四足性移動を経て,ヒトの移動運動である二足性移動への移行に伴ない複雑化する運動は,巧みに協調された種々の要素の複合パターン,つまり協調性複合体(Koordinationskomplex)である.即ち,自発運動や起き上り,個体発生学的運動を構成要素とする正常な運動発達が,自由な二足性移動と一致するためには,体姿勢の自律的制御なくしては不可能である.体姿勢の自発運動,起き上り,自律的制御及び姿勢反応……この三大運動機能は,移動運動の表現方法として環境への接触には不可欠の構成要素である.
姿勢反応(Lagereaktion)…時に姿勢反射と呼ぶ……については,Magnus und de kleijn(1912),Moro(1918/1920),Landau(1923),Schaltenbrand(1925),Peiper und Isbert(1926),Collis(1954),Prechtel und Beitema(1958)らによって唱えられているが,Vojta(1974)は,彼自身の反応を含めて7つの姿勢反応を脳性運動障害の診断に利用しているが,これは又,理学療法士にとって,治療上の評価,即ち障害部位の明確化及び治療効果の判定に最も重要な反応である.以下,その姿勢反応について紹介する.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.