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特集 運動療法
Ⅲ.失調症・パーキンソニズムに対する運動療法
失調症の基礎
Basal Knowledge of A taxia
中村 隆一
1
Ryuichi NAKAMURA
1
1東京都神経科学総合研究所リハビリテーション研究室
pp.1013-1020
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101368
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Ⅰ.はじめに
失調症(ataxia)とは文字通りには秩序・順序(order)の欠損であり,種々の運動障害に対して古くから用いられた言葉である.1846年Bouillaudは失調症を随意運動時の協調不全を特徴とした異常に用い,1858年Duchenneは脊髄癆の失調症を運動協調の全般的障害の意味とした.1880年Spencerが小脳病変による運動の不規則性(motor irregularities in arrangement)を失調症としたことから,現在では小脳疾患によるもの(cerebellar ataxia)と脊髄あるいは感覚系の障害によるもの(spinal or sensory ataxia)を失調症と呼んでいる.なお臨床的には前頭葉性失調症(frontal ataxia)と呼ばれるものもあるが,ここでは省略する.
運動失調を主症状とする症患には種々のものが存在し,それをどのように分類するかは,病型の間に移行型のあることなどからかなり困難であるが,厚生省特定疾患調査研究班(昭和50年度)によって作られた暫定分類は表1の如くになっている.
なお神経症候学的には深部感覚障害による脊髄後索型運動失調(脊髄癆型運動失調―狭義の運動失調),小脳系障害による小脳型運動失調(協調運動不全),迷路系障害による前庭迷路型運動失調(平衡障害)に分けることもある.ここでは主に小脳病変による運動失調をとりあげる.注
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