The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 10, Issue 10
(October 1976)
Japanese
English
特集 職業的リハビリテーション
職業リハビリテーションの概念と体系
The Concept and System of Vocational Rehabilitation
小島 蓉子
1
Yoko KOJIMA
1
1日本女子大学
pp.741-747
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101315
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わが国の職業リハビリテーションは,その崩芽を,たとえ意味づけは現代のそれと異質であるにせよ,大正年間,関東大震災後の傷病者職業更生事業や,傷痍軍人援護事業の一環の中に見出すことができる.しかしわが国の人間に対する姿勢の特長として,障害者を労働人口とみてその地位を高める努力を国の責任とするという感覚よりも,労働の世界はできるだけ健常労働者でかためて障害者を被扶養人口にとどめるという社会通念が強かった.これは幼児や医療ケアを必要とする重症者の対策を考える際の理論としては通じるかも知れないが,年金も手薄い上に,就労の機会をも取りあげた障害者政策に満足しえない多数の障害者への回答にはならなかったことを銘記すべきである.程度のいかんを問わず障害者イクオール就労不能者という前提に立った対応の歴史が現今まで続いたため,他の先進諸国に比してわが国の職業リハビリテーション事業は,科学としても政策としても一貫性をもって社会保障体系の中に確立する契機を欠いているものとみることができる.
本稿はあるべき職業リハビリテーションの枠組を見きわめることにより,現実の行政体系の中で分散管理されて来ている諸業務を一つの体系の中に呼びもどしつつ,これからいかなる領域を強化していって,職業リハビリテーションの総合的発展に向うべきかの課題を考察してみたいと考える.
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