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講座
社会リハビリテーション 1.社会リハビリテーションの概念と実践基盤
Social Aspects of Rehabilitation Practices. 1. The Concept and Basic Considerations on Social Aspects of Rehabilitation Practices
小島 蓉子
1
Yoko KOJIMA
1
1日本女子大学文学部社会福祉学科
1Japan Women's University.
pp.510-515
発行日 1984年7月15日
Published Date 1984/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103128
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はじめに
“人はひとり立たず”という古くからの言いならおしがある.他者と共に生き,生かしめられる社会こそ望ましい社会であるが,ある人が何れかの障害を負うと,これまでの歴史の中では常にこうした当り前のルールが脅かされて来たという事実を,否定することはできない.
これまで障害者でも身辺自立が出来ない限り1人前ではないと考えられ,社会の営みの外側の「病院」や「施設」に隔離され,そこでのサービスの消費者としてのみ位置づけて来た.しかし,今日では多くの障害者が,患者とか施設収容者という与えられた役割を返上して生きていこうとしている.たとえ,ベッドや車椅子と訣別しないままでも一市民として機能することはできるのだとして,その人間性を主張する時代になったのである.
ADLの自立は,社会自立の重要要素であるが,それが出来ないからと言って社会の一員として生きる権利なとり上げられる何の理由もない.生命ある限り人はいかなる状態でも人権をもって生きる主人公でありうるのである.
高齢化が進み,重度者が生きうる社会環境が整備される社会になればなるほど,医療効果のブラトーに達した人々の社会的生存を考えねばならない必要性に迫られている.こうした時代にあってこそ,普通の社会環境そのものを,障害者が安心して住める地域に変え,障害者を受け入れようとする社会の吸引力を増大させる社会リハビリテーションには,大きな関心が払われるのである.
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