Japanese
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特集 難病
ベーチェット病
Behcet's disease
稲葉 午朗
1
,
青山 順子
1
,
清水 保
1
Goro INABA
1
1帝京大学第2内科
pp.700-706
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101304
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Ⅰ.概念
ベーチェット病(Behcet's disease or syndrome,以下べ病と呼ぶ)は,口腔粘膜のアフタ性潰瘍,ブドウ膜炎,陰部潰瘍,結節性紅斑様あるいは座瘡様の皮疹を主徴とし,このほかほとんど全身にわたる諸臓器をおかす,再燃傾向の強い炎症疾患である.本症を推定せしめる多彩な症状をもつ症例の報告は,文献上に古くから散見されるが,それらがひとつの疾患単位として認識されたのは,Behcetの卓越した観察にもとづく記載(1937年)1)以後のことである.
べ病は,元来,中東や地中海沿岸の諸国に多く極東地方では稀な疾患とされていたが,近年とくに1948年以降の本邦における発症数は異常な激増傾向を示し,1972年の全国疫学調査では,すでに患者実数約8,000人,人口100万対有病率62.7人と推定された2).
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