増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅸ 免疫・アレルギー・膠原病治療薬
原因不明の全身疾患
214.ベーチェット病の薬物治療
稲葉 午朗
1
,
岸 いずみ
2
1七沢リハビリテーション病院
2七沢リハビリテーション病院・内科
pp.2280-2281
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221334
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ベーチェット病の発症,進展のしくみと治療の原則
特定の遺伝病や外傷,中毒などの災害を除き,大部分の疾患が,内在する素因と外因とのかね合いで発病の条件を構成することに異論はないであろう.ベーチェット病についても例外ではない.その素因に関しては最近急速に研究が進展し,HLA-B51と密接に結びついた遺伝子の重要性が異なる人種間でも確認された.これと連動する外因諸説の評価は定まっていないが,いずれにせよ,この過程を経て形成されたベーチェット病の病変は,増悪と軽快を反復しながら遷延経過をとり,次々に新たな症状ないし病変が加わってくる.
ベーチェット病の多彩な症状が,早発群と遅発群とに明確に分かれていることは,疾患の進展の機序を考察する上できわめて示唆に富む所見と思われる.口内アフタ性潰瘍が大多数の症例で必発かつ初発症状であり,皮膚,眼,外陰部の病変,つまり主症状のすべてと関節炎の一部が早発群で,消化管,血管系,中枢神経などの,いわゆるベーチェット病の特殊病型を作る内臓病変は遅発群に属する.これらの中には,ベーチェット病の診断決定後,数年,時には10年以上を経て発現するものも稀ならず存在する.
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