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特集 PT,OTにおけるリスクとその対策
心疾患のリハビリテーションにおけるリスクとその対策
How to train the patients with ischemic heart disease.
木村 登
1
,
高山 一成
1
,
田代 寛美
1
Noboru KIMURA
1
1久留米大学内科
pp.37-43
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101149
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はじめに
心筋梗塞の患者が再び充分な運動能力を獲得しかつ意義ある社会復帰を期待するためには,発病後数日間の絶対安静と,その後なるべく早い時期にトレーニングを開始すること,これに平行して食事療法についての徹底した教育が極めて重要であることについては機会あるごとにふれてきたが,今や,心疾患におけるトレーニング療法と各自の能力に応じた生活指導の重要性は,意義ある社会復帰を期待する上で欠くことの出来ないものになった.
昨春,京都で開かれた日本医学会総会での特別講演『心・血管病の予防とリハビリテーション』で述べたごとく,過去15年間,私共の教室に入院した683名の高血圧性,虚血性心臓病患者の予後調査の成績では,トレーニング療法によりマスターの二階段試験のダブル量まで達した人の過半はその能力を退院後もなお維持し,何ら制限を受けない日常生活を送っていることからその重要性が再確認され,一方,重症な合併症をもつため,運動能力の回復がシングル量以下にとどまったものの過半は死亡したが,中には能力が維持されているものもあり,たとえシングル以下の場合でも,患者に運動能力の限界を説明し,厳重かつ適切な指導を行えば必ずしも予後は悪くないことが示された.
今回の分担題目である心疾患のリハビリテーションのリスクとその対策については,心筋梗塞患者に実際私共が行っている方法を中心に述べるが,リハビリテーションは,既に発症直後から始まっているという事を充分認識して以下の文を御理解いただきたいと思う.
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