The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 9, Issue 12
(December 1975)
Japanese
English
研究と報告
下肢装具における膝伸展補助装置について
Means of knee extension assit in lower limb.
徳永 英世
1
,
渡辺 英夫
1
,
岡部 とし子
1
,
堤 美喜子
1
,
中島 由美
1
,
下村 修
1
Hideyo TOKUNAGA
1
1熊本大学病院理学療法部
pp.883-886
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101138
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はじめに
種々の疾患によって膝伸展力の低下した症例に長下肢装具を処方し,膝継手をロックして棒足歩行させることが一般に行われているが,これでは歩行のswing phaseにおける膝屈曲ができないため,歩容悪くエネルギーの消耗も多く理想的とは言えない.
これに対しIRMのSKA Orthosis1)やイスラエルのSaltiel Brace2),それにK.U. Short Leg Brace3)は足部を尖足位に作り,体重をかけることによりpre-tibial shellを介して膝の伸展が補助される機構をもった短下肢装具である.これでは膝の屈曲歩行ができるので,膝伸筋の中等度の弱化例などにはよい適応がある.
しかし股関節伸筋にも麻痺がある症例や,対側下肢にも筋力低下のある症例では短下肢装具ではどうしても不十分であり,長下肢装具や時によっては骨盤帯付の長下肢装具が必要となる.
UCLAのFunctional Long Leg Brace4)はこの様な病態の際に用いられる優れた装具であり,off-set膝継手をはじめいくつもの膝折れを防ぐ機構が組み込まれている.しかしこの装具にも問題が皆無というわけでなく,われ,われの使用経験では以下の如き問題点があった.
1)製作や適合が比較的むずかしい.
2)大腿前面のソケット上部が高いため,坐位やこしかけがやりにくい.
3)swing phaseに足部が底屈するので,つまさきが床にひっかかり歩きにくい.
4)膝の屈曲拘縮のある例には使えない.
そこでわれわれはもっと簡単な方法で膝折れを防ぐことはできないものかと考え,いくつかの試みを行ってみた.
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