Japanese
English
特集 痛み
疼痛に対する温熱療法―特に疼痛軽減のメカニズムの考察
Thermotherapy for the relief of pain. (Discussion on the mechanism of analgesic effect produced by application of heat.)
嶋田 智明
1
Tomoaki SHIMADA
1
1九州リハビリテーション大学校
pp.397-404
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100850
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
疼痛そのものの評価体系が,充分発達していなかったにも拘わらず,従来から疼痛緩解あるいは,除去を目的として温熱は用いられて来たが,それらは生理学的裏付の乏しい経験的な傾向が強く,「疼痛除去即温熱療法」という一種の固定観念を我々に植え付けていただけの様に思われる.Russek1)は,物理療法は,疼痛に対する最も古い歴史を持つ治療体系であろうと述べ,疼痛緩解と温熱療法の歴史的因果関係を説明している.例えば紀元前に,すでに水を用いた温熱療法が中国において実施されていたという記述もある2).事実,疼痛の軽減は温熱の適用で可能であるが,「何故か」あるいは「どのような機序でか」という疑問の上では,その理由づけに困惑せざるを得ないのが現状である.そこで温熱のもたらす生理学的効果を複雑な機構を備えた生体中で,疼痛という生体防禦の一反応と関連づけて,その治療法を自分なりに考察していくことにした.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.