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はじめに
大腿義足膝継手の開発は,1919年Schedeが義足の構造理論を唱えて以来,主にドイツで発達した.1952年Muller,Hettinger18)らが,種々の大腿義足の労働生理学的研究として単軸膝,多軸膝,安全膝を用い,立脚相における膝部の安全性の計測を行なった.以後,膝継手の発達は目ざましく,各国において単軸膝,多軸膝,安全膝,流体制御膝,等が盛んに研究開発されてきた.多軸膝は,西ドイツ,スウェーデン,フランス,イタリアで開発され,Lang,Rock,Schede-Habermann,Striede,等の膝継手があり,現在アメリカのV.A.P.C.ではRadcliffe25),カナダではGodfrey5)らを中心として,三重リンク機構膝の研究も行なわれている.安全膝は,ドイツOtto Bock社のBock 3 P 23,および骨格構造のBock 3 R 15,アメリカではKolmanが有名であり,本邦においても多く用いられている.流体制御膝では,Hosmer,Blatchford,および当センターで開発した空気圧24)によるものと,Hydra-Cadence,Dupaco,Dyna-Plex,等の油圧機構4,9,12)を用いた二種類がある.これらは全て義足歩行を健常人の持つ歩行に近づけようとする試みであり,今後も継続して研究されていくであろう.
さて,沢村30)は,大腿義足の処方方針の中で,膝継手選択の重要性を説いている.著者は,当センターに入院した大腿切断者で,前述した膝継手機構のうち,一定摩擦をもつ単軸膝(以下single axisと示す),安全膝であるBock 3 R 15(以下system legと示す),Bock 3 P 23(以下Jupaと示す)を同時に処方し,テストする機会を得たので,これらを比較し,文献的考察も含め発表する.
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