Japanese
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特集 脊髄損傷
脊髄損傷者の心理
Psychology in traumatogenic myeloparalytics.
永井 昌夫
1
Masao NAGAI
1
1国立身体障害センター
pp.735-740
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100715
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緒論
脊髄損傷者の心理とは,脊髄損傷を受けた者が単にどのような心理状態にあるかということを意味している訳ではない.一般的にいえば,脊髄損傷者が健常者と比べて心理的反応にどのような差を現わし,それがどの程度脊髄損傷と結びついているかということである.この差異は,すべて好ましくないものとは限らないので(知能や耐容性の高い場合などがあれば),必ずしも心理的異常とはいえず,健常者における心理的範疇からどの方向に逸脱の傾向を示すかというだけである.しかし,この逸脱傾向と脊髄損傷の特性を関係づけることは,それほど容易なことではない.なぜなら,かりに健常者と脊損者の間に心理的な差を種種の検査の上に認めたとしても,それは両者の間にグループとしての差が出たに過ぎないだけで,個人における特性は消去されてしまうし,脊損そのものと相関させるためにも他の因子が数多く介在しているからである.また,健常者が脊損になる前後に差を示したとしても,それが脊損という因子に特有かどうか(脊損でなくても起きたかもしれない)疑わしいからでもある.
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