視座
脊髄損傷者の予後
新宮 彦助
1
1山陰労災病院
pp.1237
発行日 1985年11月25日
Published Date 1985/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907287
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故中村裕先生が「日本の脊損対策は20年遅れている」といいながら,一生懸命社会復帰に,身障スポーツに,努力しておられた.治療法の開発,尿路管理の進歩,総合的リハビリテーションの確立によって,ようやく多くの人が家庭ないし社会復帰できるようになった.20年前に比して胸腰髄損傷者の生活環境,労働条件は大分整備され,社会的に受け入れられるようになったことは,諸先輩の努力の結果であり,ありがたいことである.
脊損者の長期生存例も多くなり,健康管理を上手に行えば十分余命を全うすることも可能と思われる.過去20年間に当院で入院治療した頸髄損傷者250例,胸腰髄損傷者256例計506例の予後を常に気にしているが,今までに死亡した人は頸損47例,胸腰髄損傷者25例で14.2%の方が亡くなっている.Nyquist(1967)が発表した米国での20年間の死亡率14%と同数である.
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