プラクティカル・メモ
傾斜台
酒井 喜代司
1
1札幌慈啓会病院リハビリテーション部
pp.699-700
発行日 1973年9月15日
Published Date 1973/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100707
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- 文献概要
傾斜台は,比較的長期の安静を必要とする症例や,ベット期を長くすごした患者が,能動的な治療プログラムを行なう準備として使用されてきたが,ここで,高齢者の弛緩性片マヒ患者が,傾斜台を使用する時の目的と,運動方法について述べたい.
Ⅰ 目的
1.起立性低血圧に対する姿勢循環反射の回復
2.足蹠圧による下肢伸展反射の促進
3.体重負荷による下肢の骨萎縮の予防
4.屈曲拘縮及び尖足の予防
5.垂直感覚減弱の予防
6.褥瘡の予防と治療
7.尿路結石の予防と尿排出の促進
8.胸廓,呼吸運動の助長
9.筋力強化
10.日常生活動作の促進
11.モラルの問題
Ⅱ 運動方法
急性期をすぎた患者で,リスクの問題がなければ,できるだけ早期に半坐位に馴らし,起立練習を平行して行なう.すなわち,他動的に患者を起立させることより始める.患者の血圧・脈拍の変化,起立性循環不全の有無などに留意しながら,最初は30度,5分間程度,5分間の体憩を入れて2回行なう.毎日少しずつ時間と角度を増し,1週間ないし10日間位で,80度,20分ないし40分間までもっていく.この状態に達した,当院の高齢者の弛緩性片マヒ患者に対し,次の様な運動を指導している.
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